情報の少ない水撃ポンプですが、調べてわかったことをまとめておきます。
◯構造と原理
水槌ポンプの基本構成:
1. 取水口 — 入力管
2. 排水弁であふれ出る水
3. 揚水口 — 揚水管
4. 排水弁
5. 揚水逆止弁
6. 圧力容器
1の入水管から水が勢いよくポンプに入ってくることが最低条件。そのために落差を利用したり、ある程度スピードのある流れを利用したりして、水を取り込む必要があります。
取り込んだ水は4の排水弁を押し上げることで、弁が閉じ、内部の圧力が高まります。これが水撃と呼ばれるもの。この高まった圧力を5の揚水弁で取り出して、高い所へ水を送る。
これが水撃ポンプの構造ですね。
従って、排水弁が閉じる事で発生する水撃圧は、3の揚水管を通る水が重力で戻ろうとする水圧より大きくなくてはならないわけです。揚程が大きくなりすぎると、揚水できなくなるのはそういうわけです。
水撃圧を大きくするには、入水管を通る流水量を増やす必要があります。入水管の長さを長くする、太さを太くするなどでそれが可能です。そして、排水量が多いほど入水量が増えるはずなので、排水弁の排水口はある程度大きくなくてはならない?と、自分では考えています。
また、水撃発生時の圧力の多くを揚水弁へ逃がすためには、他の部分へ圧力が逃げないように送水管も含めたポンプ本体を剛性の高い素材で作るべきです。
排水弁は一度閉じたあと、再びすぐに閉じるよりある程度流水量が戻ってから閉じるように設計した方がより水撃圧が高まるはずですが、弁の閉じるピッチを遅くしてしまうので、どちらを重視するかは流水量と揚程次第ではないでしょうか。
揚水弁は水撃圧によってすぐに開くようにしておけば小さな水撃圧(=小さな落差)で揚水出来る可能性が高まります。水撃圧を逃した後の逆流を最低限にするためには、すぐ閉じるように設計すべきでしょう。
揚水管の素材や内径はポンプの機能にさほど影響しないと思います。(後日、揚水管の内径が揚水量に大きく影響するという事が分かりました。水撃ポンプ 製作ガイドブックから - 子連れハンター)
僕の家の前の川は、所々に高さ1メートルくらいの滝が作られているので、落差を利用することが可能です。
◯制作について
ある程度の剛性を確保しながら、何よりお金をかけたくない!という気持ちを大切にします。よって、塩ビパイプで作ります。
送水管の先には太めのゴムホース、揚水管の先には細めのゴムホースをつける予定です。
6の圧力容器は、ペットボトルを使用すれば無料です。
問題は2つの弁です。自作されている方の多くは、水道管などの逆止弁を使用されていますが、これが高価です。灯油ポンプの弁を使用されている方もおられましたが、あくまで実験的に使用されていて、実際には耐久性が問題となってくると思います。
そうなってくると、弁も自作となるのか…
塩ビパイプの継手には異形ソケットやインクリーザというものがあります。
(写真はインクリーザ)
これの太い方を2つ繋ぎ合せて、中にゴムのボールや円柱形の物を入れれば弁になるはずです。揚水弁は縦向けにしておけば閉じる側と通す側が同じ構造になっていてもこのまま使えると思います。
排水弁は、
ゴムを上から吊り下げるようにすればいいのですから、異形ソケットの細い方を上にして、上にキャップを付けます。キャップの中心に穴を開けて上から棒を通し、ゴムの中心と繋ぐようにすれば出来るはずです。
揚水弁は開いてすぐ閉じるように重さや形を工夫する必要がありそうです。
排水弁は、閉じた後はしっかり開いたりある程度の流水量が回復した時に閉じたりするように調整しなければなりません。スプリングを入れて弁が開きやすいようにするか、吊り下げた棒の上に重りを付ける等の必要が出てきそうですね。
実際に作ってみると様々な不具合が出てくると思いますが、電気もガソリンもいらないこの夢のあるポンプ作り、始めてみたいと思います。
制作過程や結果などは追って報告します。
追加
数ヶ月経って、情報収集や自作をしながら考えたことをまとめました↓